イランの高名な詩人で『シャーナーメ』の著者であるフェルドウスィーを記念した全国会合において、同国のイスマーイーリー文化・イスラム指導相がライースィー大統領のメッセージを読み上げましたが、その中では、この詩人がペルシア語の歴史およびイラン・イスラム文明の発展の途上で果たした大きな役割について言及されました。
ライースィー大統領が同会合に寄せたメッセージの全文は、以下の通りです。
慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において
人間の考えがその存在を超えることのできない
生命と知の創造者たる神の御名において(『シャーナーメ』序文より)
イラン・イスラムの文明・文化は、輝かしいイスラム文明の中心にしっかりと根差す偉大な真実である。西側が最も暗黒な中世の時代にあった時、この文明は、神を求める人間の性質の中に思考という宝石を息づかせ、神の預言者による最も完全かつ最後のメッセージを受けとった精神性のある魂とともに、人類の未来を、啓示および神の唯一性の教えの中で光溢れるものとした。
イラン文化は、東側の古い文明の中心において、寛大さの源としてイスラム世界に東と西の覚醒の連鎖がつながる地点としての偉大さを与えたばかりでなく、物質主義の頂点にある現在の混迷した世界においても、真の英知の旗手および公正さと懸命さの前衛となることができた。
この(イラン・イスラム文明の)長い道程において、イスラム世界で二番目に広く使われていた言語であるペルシア語は、神の言葉(たるアラビア語)とともに、常に英知、不謬性、そして預言者一門への献身を表す言語であった。そして、千数百年にわたる歴史を通じてイランの地は、他には見られない才能を持つ偉人たちを生み、彼らが人類の芸術や思想における最も重要な傑作を生み出したことから、イランの歴史の骨格には、最も完全な一神教の庇護のもとで再び命が吹き込まれた。
ペルシア語の歴史と輝かしいイラン・イスラム文明の発展の過程で、比類のない役割を果たした者がいたとすれば、それは間違いなく、偉大な詩人のフェルドウスィーである。彼の作品『シャーナーメ』はまた、自由、公正、義侠心に溢れた行動、知恵と、イランの地の人々の誇り高い祖国愛とがより合わさった象徴でもある。イラン人は(この作品に象徴されるように)、裏に潜む利権ではなく常に真実を守る側に立った人々であり、侵略者を自身の地から追いやるためにすべてをかけた人々であり、神の真実の約束を信じて悪の中枢を撃った英雄的な人々である。
フェルドウスィーは、一個の詩人というだけでなく、イランへの親愛と預言者一門への追随という両翼でイラン人のアイデンティティを完成に向けて飛翔させた、イラン・イスラム文化が濃縮された人物と考えるべきである。彼は『シャーナーメ』において、英雄叙事詩という高い塔と大きな砦を打ち建てたが、その基部はペルシア語にあり、建物はイマーム・アリーの印から生えたものである。
この聡明な詩人の思想と芸術を讃えて現代社会、中でもイラン・イスラム文化の未来を担う若い世代に再認識させようとする取り組みは、革命の第二段階突入を前にした現在、イラン・イスラムのアイデンティティへの共感および強化、そして地域と世界でのイラン・イスラム共和国の文明モデルの向上の途上における焦点になると考えられている。そのために、フェルドウスィーのような偉大な人物の記念日への全力的な支援が行われし、この活動を世界に広げる壮大な計画が立てられ、この先も予定されているのである。
最後に、今回の会合開催に携わった関係者に感謝しつつ、イランの文化・芸術を愛する人々、すべてのペルシア語話者、そして世界中のフェルドウスィー作品愛好家に向けて、偉大なフェルドウスィーの記念日とペルシア語保全の日の祝辞を述べたい。我が国の文化事業に関わる人々、そしてペルシア語とその文化の保全に関わる人々の、ますますの成功を願っている。
セイエド・エブラーヒーム・ライースィー
イラン・イスラム共和国大統領
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